新たな出会い~イスラエル博物館所蔵/印象派・光の系譜展
この美術展、すっごくよかったんですよ!
大半の作品が日本初公開とかで、初めて知る画家も。中でもドイツのレッサー・ユリィは衝撃でした。《夜のポツダム広場》《冬のベルリン》と都市を描いた作品がモダンで、冷えた情感にグッと心をつかまれました。
ライトに照らし出された雨の街路が印象的な《夜のポツダム広場》は、1920年代半ばの作品。当時のベルリンは金融の中心地の1つだったそうですが、華やかさとは裏腹の社会の歪みや虚無的な空気を感じます。
この作品風《風景》は撮影可でしたが、黒の艶、絵の具の質感はやはり写せない。。。力強いのとは違う、現実かどうかも分からないけれど、存在の塊が迫ってくるようです。
ゴッホは3点。赤色が鮮やかな《麦畑のポピー》と眩しい黄色の《プロヴァンスの収穫期》を並んで観られたのが嬉しい
ポール・ゴーガンがタヒチを描いた《炎の踊り》も、素晴らしかった!官能的なために公的には禁じられていたそうですが、近代文明から遠く離れて霊的な世界とともに生きる人々の祈りが伝わってきました。
印象派が作品を生み出したのは、世界が近代化し、科学技術が進歩し、そして大きな戦争に向かっていった時代。この展覧会ではそうした背景も浮かんできて、”美しい”だけではない感覚が残っています。
*東京・三菱1号館美術館、2021年10月15日~1月16日。